準確定申告とは?亡くなった方の所得税申告の期限・必要書類・手続きをわかりやすく解説

家族が亡くなった際には、葬儀や相続手続きだけでなく、所得税の申告が必要になる場合があります。この手続きを「準確定申告」といいます。

準確定申告は、亡くなった方に代わって相続人が行う所得税の申告です。通常の確定申告とは申告期限や手続き方法が異なるため、注意が必要です。

この記事では、準確定申告の基本的な仕組みから、対象者、申告期限、必要書類、相続手続きとの関係まで、わかりやすく解説します。

準確定申告とは?基本的な仕組み

準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)の所得について、相続人が代わりに行う所得税の確定申告です。

通常の確定申告では、毎年1月1日から12月31日までの所得を計算し、翌年の原則3月15日までに申告します。

一方、年の途中で亡くなった場合は、その年の1月1日から死亡日までに確定した所得を対象として申告します。

例えば、2026年8月10日に亡くなった場合、2026年1月1日から8月10日までの所得が申告対象です。

準確定申告は、相続財産の確認や納税額の把握にも関係する重要な手続きです。

準確定申告が必要になる人とは?

準確定申告は、亡くなった方全員について必要になるわけではありません。

原則として、生前に確定申告が必要だった方は、亡くなった年についても準確定申告が必要になる可能性があります。

主な対象者には、次のような方が該当します。

・個人事業主やフリーランスとして事業所得があった方
・不動産賃貸による所得があった方
・給与所得が2,000万円を超えていた方
・公的年金などの所得があり、確定申告が必要な方
・株式や不動産の売却による課税所得があった方

ただし、所得金額や各種控除、源泉徴収の状況によっては申告が不要となる場合があります。

また、納め過ぎた税金の還付を受けるため、申告が義務ではなくても準確定申告を行うことがあります。

準確定申告の期限は死亡を知った日の翌日から4か月以内

準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。

一般的には、相続人が亡くなったことを知った日の翌日から数えます。

例えば、2026年6月15日に亡くなり、相続人が同日に死亡を知った場合、原則として2026年10月15日が申告・納税期限です。

通常の確定申告とは異なり、翌年の3月15日まで待つことはできません。

なお、前年分の確定申告を済ませないまま翌年に亡くなった場合には、前年分と死亡した年の分の両方について準確定申告が必要になることがあります。

期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税などが発生する可能性があるため、早めの確認が重要です。

準確定申告に必要な書類と手続きの流れ

準確定申告では、亡くなった方の所得や控除に関する資料を集め、申告書を作成します。

主な必要書類は次のとおりです。

・所得税及び復興特別所得税の確定申告書
・準確定申告書の付表
・給与や年金の源泉徴収票
・事業所得や不動産所得に関する帳簿
・医療費や社会保険料などの控除関係資料
・その他、所得計算に必要な書類

申告書の提出先は、亡くなった方の死亡当時の納税地を管轄する税務署です。

相続人が複数いる場合は、原則として共同で申告しますが、一定の方法により個別に提出することも可能です。

また、準確定申告はe-Taxによる電子申告にも対応しています。

医療費控除や保険料控除を受ける際の注意点

準確定申告でも、通常の確定申告と同様に医療費控除や社会保険料控除などを適用できる場合があります。

ただし、控除の対象となる支払いの時期には注意が必要です。

例えば、医療費控除の対象となるのは、原則として亡くなった方が死亡日までに支払った医療費です。

死亡後に相続人が支払った医療費は、亡くなった方の準確定申告には含められません。

社会保険料控除や生命保険料控除などについても、死亡日までに亡くなった方が支払った金額を基準に判断します。

配偶者控除や扶養控除などは、死亡日の状況に基づいて適用の可否を判定します。

控除の適用を誤ると税額に影響するため、資料を整理して確認することが大切です。

準確定申告と相続税申告の違い

準確定申告と相続税申告は、どちらも人が亡くなった際に関係する税務手続きですが、申告する内容が異なります。

準確定申告は、亡くなった方の生前の所得に対する所得税の申告です。

一方、相続税申告は、相続人などが取得した財産について、相続税を計算して申告する手続きです。

申告期限も異なり、準確定申告は原則4か月以内、相続税申告は原則として死亡を知った日の翌日から10か月以内となります。

また、準確定申告によって確定した所得税の未納額は、一定の要件のもとで相続税の債務控除の対象となる場合があります。

そのため、相続税の申告が必要な場合は、両方の手続きを関連付けて進めることが重要です。

準確定申告は誰に相談すればよい?

準確定申告には、所得税の計算だけでなく、相続人の確認や財産関係の資料整理など、複数の作業が伴います。

所得税の申告書作成や税額計算、税務代理については、税理士に相談するのが適切です。

一方、行政書士は、相続人調査、戸籍収集、遺産分割協議書の作成など、相続に関連する書類作成や手続きを支援できます。ただし、税理士業務に該当する税務申告の代理や税額計算などは行えません。

相続関係が複雑な場合には、行政書士と税理士などの専門家が連携することで、各手続きを円滑に進めやすくなります。

特に個人事業や不動産賃貸を行っていた方の場合は、早い段階で専門家に相談することが望ましいでしょう。

まとめ:準確定申告は期限を確認して早めに準備しよう

準確定申告は、亡くなった方の所得税について、相続人が代わりに申告する重要な手続きです。

申告期限は、原則として相続の開始を知った日の翌日から4か月以内であり、通常の確定申告よりも短い点に注意が必要です。

また、所得の種類や控除の適用、相続人が複数いる場合の申告方法など、確認すべき事項も少なくありません。

相続手続きでは、準確定申告のほかにも相続税申告、不動産の名義変更、預貯金の解約など、多くの手続きが発生します。

申告漏れや期限超過を防ぐためにも、税務については税理士に、相続関係書類の作成や手続きについては行政書士などに相談し、計画的に進めることが大切です。