相続税の申告をしないとどうなる?無申告のペナルティと期限後の対応を解説

相続が発生したものの、「相続税の申告が必要なのかわからない」「申告期限を過ぎてしまったらどうなるのか」と不安になる方は少なくありません。

相続税は、すべての相続人に申告義務があるわけではありません。しかし、本来申告が必要なのに何もしないまま期限を過ぎると、本来の相続税だけでなく、無申告加算税や延滞税などが発生する可能性があります。

ここでは、相続税を申告しなかった場合の影響と、期限を過ぎてしまった場合の対応について解説します。

相続税の申告をしないとペナルティが発生する可能性があります

結論として、相続税の申告義務があるにもかかわらず期限までに申告しなかった場合、期限後申告となり、本来納める相続税に加えて「無申告加算税」や「延滞税」が課されることがあります。

さらに、税務署から督促を受けても納税しない状態が続けば、財産の差押えなどの滞納処分を受ける可能性もあります。

ただし、そもそも相続税の申告義務がない場合には、原則として申告する必要はありません。まず重要なのは、自分が「申告しなければならないケース」に該当するかを正確に判断することです。

相続税の申告が必要になる基準とは

相続税は、原則として相続財産等の合計額が「基礎控除額」を超える場合に申告が必要となります。

基礎控除額は、次の計算式で求めます。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

たとえば、法定相続人が3人であれば、基礎控除額は4,800万円です。課税対象となる遺産の金額が基礎控除額以下であれば、通常は相続税の申告は必要ありません。

一方、基礎控除額を超えている場合には、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告・納税を行う必要があります。

期限を過ぎた場合には、無申告加算税に加え、法定納期限の翌日から実際に納付する日までの日数に応じた延滞税が発生することがあります。そのため、申告漏れに気付いた場合は、放置せず早めに対応することが重要です。

「税額がゼロなら申告不要」とは限りません

よくある誤解が、「計算した結果、相続税がゼロなら申告しなくてもよい」というものです。

たしかに、もともと遺産額が基礎控除額以下であれば、原則として申告は不要です。しかし、基礎控除額を超えていて、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」などを適用した結果として税額がゼロになるケースでは、特例の適用を受けるために相続税の申告が必要となる場合があります。

「納税額がない=申告義務もない」と自己判断するのは注意が必要です。

実務では財産の把握漏れに注意

相続税申告で問題になりやすいのが、相続財産の見落としです。

預貯金や不動産だけでなく、株式などの有価証券、生命保険金、一定期間内の生前贈与、名義は家族でも実質的には被相続人の財産と判断される預金などが課税関係に影響することがあります。

「自宅と預金を合計して基礎控除以下だったから大丈夫」と判断した後、別の財産が判明して申告が必要になることも考えられます。

また、遺産分割協議が終わっていないことを理由に、そのまま申告期限を過ぎてしまうケースにも注意が必要です。遺産が未分割であっても、申告期限そのものが自動的に延長されるわけではありません。

税理士などの専門家に相談できること

相続税については、税理士に依頼することで、申告義務の判定、相続財産の確認・評価、相続税額の計算、特例の適用判断、申告書の作成・提出などの支援を受けられます。

特に、不動産や非上場株式がある場合、生前贈与が行われている場合、財産の全体像がわからない場合、すでに申告期限が迫っている、または過ぎている場合などは、早めに専門家へ相談することが重要です。

なお、相続登記など法律上の手続については司法書士、遺産分割をめぐる紛争については弁護士など、内容に応じて適切な専門家との連携が必要になることもあります。

まとめ

相続税の申告義務があるのに申告しないまま期限を過ぎると、本来の税額に加えて無申告加算税や延滞税が発生する可能性があります。納税しない状態が続けば、滞納処分につながることもあります。

一方で、相続税は「遺産がいくらあるか」だけで単純に判断できるものではありません。財産評価や生前贈与、各種特例なども確認する必要があります。

「申告が必要かわからない」「10か月の期限が近い」「すでに期限を過ぎてしまった」という場合には、放置せず、できるだけ早く税理士などの専門家に相談することをおすすめします。